呼気NO検査とは?長引く咳・喘息の診断補助に|熊本市南区の力合クリニック
2026年5月3日
掲載日:2026/05/03
最終更新日:2026/05/04
熊本市南区の当院では、喘息や長引く咳の評価に役立つ検査として、呼気一酸化窒素(呼気NO)検査を行っています。
「風邪は治ったのに咳だけが続く」
「夜間や明け方に咳が出る」
「レントゲンでは異常がないと言われたけれど、喘息が心配」
このような場合、気道にアレルギー性の炎症が残っていることがあります。
呼気一酸化窒素(呼気NO)検査は、吐く息を調べることで、気道の炎症の程度を数値で確認できる検査です。
呼吸器専門医が、呼気NO検査について、わかりやすく解説いたします。本記事では、呼気一酸化窒素検査を「呼気NO検査」と表記します。医学的にはFeNO検査とも呼ばれます。
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このページでわかること
- 呼気NO検査で何がわかるのか
- 長引く咳・咳喘息・喘息との関係
- 数値が高い場合・低い場合の考え方
- 検査の流れ・費用・子どもでの実施目安
呼気一酸化窒素(呼気NO)検査とは?
呼気一酸化窒素検査(呼気NO検査)は、息を吐くだけで、気道にアレルギー性の炎症があるかを数値で見える化する検査です。
気管支喘息では、空気の通り道(気道)に炎症が起こることで、気道の粘膜がむくんで、結果的に気道が狭くなることで、喘鳴や息切れのような症状が出現します。特に、喘息では、気管支に「好酸球性炎症」あるいは「2型炎症」と呼ばれるアレルギーに関連した炎症が起こることがあります。
本来、気道の炎症を直接確認するには、気道の細胞や分泌物を詳しく調べる必要があります。しかし、通常の外来診療で気道の炎症を直接調べることは簡単ではありません。そこで、吐く息に含まれるNOを測定することで、気道の2型炎症を推測する検査が呼気NO検査です。
この検査は痛みを伴わず、採血も不要です。しかも、数分程度で測定できるため、患者さんの負担が少ない検査です。
検査では気道のアレルギー性炎症を見える化します.webp)
呼気一酸化窒素(呼気NO)が増加する仕組み
呼気一酸化窒素、つまり、呼気NOは、喘息や咳喘息などでみられる 気道のアレルギー性炎症 が強いと高くなりやすい検査です。
喘息や咳喘息では、アレルギーに関連した「2型炎症」が気道で起こることがあります。
この炎症では、IL-4、IL-13、IL-5などの物質が関係します。
IL-4やIL-13は気道上皮細胞に作用し、NOが多く作られるようになります。そのNOが吐く息に出てくるため、呼気NO検査で高い値として測定されます。
また、IL-5は好酸球という白血球を増やし、気道炎症を強める方向に働きます。

呼気NO検査でわかること
呼気NO検査では、主に次のようなことが分かります。
気道にアレルギー性の炎症があるか
喘息や咳喘息では、気管支にアレルギー性の炎症が起こっていることがあります。呼気NOの値が高い場合、そのような炎症が関係している可能性があります。
吸入ステロイド薬が効きやすいか
呼気NOが高い方では、吸入ステロイド薬による治療が効果的なことがあります。そのため、治療方針を考えるうえで参考になります。
治療がうまく効いているか
吸入治療を続けることで呼気NOの値が下がることがあります。症状だけでなく、気道の炎症が改善しているかを確認する手がかりになります。
呼気NO検査結果の見方
呼気NOの値は「ppb」という単位で表示されます。呼気NO値が高い場合、気管支にアレルギー性の炎症(2型炎症)が起きている可能性があります。
日本人を対象とした研究では、22ppb以上で喘息の可能性が高くなり、35〜37ppb以上では喘息をかなり疑うとされています。
検査で喘息患者のFeNO値が健常者より高いことを示すグラフ.webp)
以下は、未治療の成人で喘息を疑う場合の目安です、小児、喫煙者、アレルギー性鼻炎の有無、吸入ステロイド使用中かどうかで解釈は変わります。
喘息診断における呼気NO濃度の解釈(未治療成人患者)
| 呼気NO値 | 考え方 |
|---|---|
| 22 ppb未満 | 2型炎症は強くない可能性があります。ただし、喘息を完全に否定できるわけではありません。 |
| 22〜35 ppb | 喘息・咳喘息などの可能性を考えます。 |
| 35 ppb以上 | 気道の2型炎症が強い可能性があり、吸入ステロイドが効きやすいことがあります。 |
※上記は未治療成人患者における目安です。呼気NO値は、年齢、喫煙、アレルギー性鼻炎、吸入ステロイド使用の有無などによって変動します。
診断は数値だけでなく、症状、診察所見、肺機能検査、アレルギー検査などを含めて総合的に判断します。
参考:日本呼吸器学会「タイプ2炎症バイオマーカーの手引き」、松永和人ほか「呼気一酸化窒素濃度測定による喘息補助診断」
ただし、呼気NOの値だけで喘息と診断するわけではありません。喘息の診断は、症状、診察所見、肺機能検査、アレルギー検査、治療への反応などを総合して判断します。
呼気NOが低くても喘息を否定できるわけではありません
ただし、呼気NOが低い場合でも、喘息が完全に否定されるわけではありません。
たとえば、すでに吸入ステロイド薬を使っている方、喫煙している方、好酸球性炎症が目立たないタイプの喘息では、呼気NOが低く出ることがあります。 そのため、呼気NO検査はあくまで診断の補助として使います。
呼気NOが高くなることがある病気・状態
呼気NOが高い場合、喘息や咳喘息が疑われますが、ほかにも次のような状態で高くなることがあります。
- アレルギー性鼻炎
- 副鼻腔炎
- アトピー体質
- アレルゲンへの曝露
- 吸入ステロイド薬を十分に使えていない場合
そのため、鼻炎や副鼻腔炎の症状がある方では、気管支だけでなく鼻の状態もあわせて確認することが大切です。
呼気NO検査の流れ
当院では、NIOX VERO(CHEST社)を採用しています。検査では、専用の機械に向かって一定の速さで息を吐きます。
- まず、息を最大限吐ききります。
- 次に、機械をくわえ、フィルターを通して最大限息を吸い込みます。
- ゆっくり10秒間、一定の速さで息を吐きます。
- 約1分で数値が表示されます。
検査の流れを説明する画像|熊本市南区の力合クリニック.webp)
検査時間は数分程度です。
小学生以上であれば実施できることが多いですが、年齢や状態によっては難しい場合もあります。
呼気NO検査の費用
呼気NO検査を行った場合、3割負担の方では自己負担額はおおよそ720円程度になります。
※診察料や他の検査料は別途かかります。実際の費用は診療内容や保険負担割合によって異なります。
このような方におすすめです
- 咳が長引いている方
- 夜間や明け方に咳が出やすい方
- ゼーゼー、ヒューヒューすることがある方
- 運動後や季節の変わり目に咳が出る方
- 喘息かどうか調べたい方
- 吸入薬の効果を確認したい方
- 咳喘息が疑われる方
特に、胸の音やレントゲン、肺機能検査では異常がはっきりしない場合でも、呼気NO検査によって気道の炎症が見つかることがあります。
長引く咳や喘息が気になる方へ
咳が長引く、夜間や明け方に咳が出る、季節の変わり目に悪化する場合は、 喘息や咳喘息が関係していることがあります。 力合クリニックでは、呼気NO検査や呼吸機能検査などを組み合わせて、 症状の原因を確認しています。熊本市南区・西区・中央区・宇土市周辺で、長引く咳や喘息が気になる方はご相談ください。
よくある質問
Q. 呼気NOが高いと必ず喘息ですか?
A. 必ず喘息とは限りません。アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、アトピー体質、アレルゲン曝露などでも高くなることがあります。症状、肺機能検査、診察所見などと合わせて判断します。
Q. 呼気NOが低ければ喘息ではありませんか?
A. 呼気NOが低くても喘息を完全に否定することはできません。吸入ステロイド使用中、喫煙中、非2型炎症の喘息などでは低く出ることがあります。
Q. 検査は痛いですか?
A. 痛みはありません。専用の機械に向かって一定の速さで息を吐く検査です。
Q. 子どもでも検査できますか?
A. おおむね5〜6歳以上で、スタッフの説明に合わせてマウスピースをくわえ、6〜10秒程度、一定の強さで息を吐き続けられる場合に実施できます。痛みはなく短時間で終わる検査ですが、小さなお子さまではうまく息を吐き続けることが難しい場合があります。そのため、実際に検査できるかどうかは、年齢だけでなく、お子さまの理解度や協力度を確認して判断します。
Q. 呼気NOの数値が高い場合には、どうなりますか?
呼気NOの数値が高い場合、喘息や咳喘息などでみられる気道のアレルギー性炎症(2型炎症)が強い可能性があります。その他の検査と合わせて判断する必要がありますが、数値が高い場合には、吸入ステロイド薬などの抗炎症治療が効果を示しやすいことがあります。
関連ページ
呼気一酸化窒素(呼気NO)検査は、喘息や咳喘息などの診断・治療方針を考えるうえで参考になる検査です。 症状に心当たりがある方は、以下のページもあわせてご覧ください。
長引く咳や喘息が心配な方へ
咳がなかなか治まらない、夜間や明け方に咳が出る、季節の変わり目に悪化する、ゼーゼー・ヒューヒューすることがある——
このような症状が続く場合、喘息や咳喘息、気道の炎症が関係していることがあります。
当院では、長引く咳や喘息が疑われる方に対して、症状や診察所見に応じて呼気一酸化窒素検査(呼気NO検査)を行っています。
呼気NO検査は、目に見えにくい気道の炎症を数値化して、『見える化できる検査』で、喘息の診断や治療方針を考えるうえで役立ちます。
ただし、咳が長引く原因は喘息だけではありません。
感染後咳嗽、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、胃酸逆流、COPDなど、さまざまな病気が関係していることもあります。
そのため力合クリニックでは、呼気NO検査だけで判断するのではなく、問診、診察、肺機能検査、アレルギーの評価、必要に応じた画像検査などを組み合わせて、咳の原因を丁寧に確認していきます。
熊本市南区で長引く咳、咳喘息、気管支喘息が気になる方は、呼吸器内科・アレルギー科の力合クリニックへお気軽にご相談ください。
一人ひとりの症状や生活背景に合わせて、適切な検査と治療方針をご提案いたします。
参考文献
本記事は、以下の国内外の喘息診療指針、呼気NO検査に関する臨床研究、日本呼吸器学会のタイプ2炎症バイオマーカーに関する手引きなどを参考に、患者さん向けにわかりやすく作成しています。
- the PGAM committee in the Japan Asthma Society.Practical Guidelines for Asthma Management(PGAM):Digest edition.Respir Investig.2025;63(3):405-421.
- Global Initiative for Asthma.Asthma management and prevention for adults, adolescents and children 6–11 years(2025).A summary guide for healthcare providers.2025.Available from: ginasthma.org.
- 日本呼吸器学会 肺生理専門委員会.タイプ2炎症バイオマーカーの手引き.2023.
- Matsunaga K ほか.Exhaled nitric oxide cutoff values for asthma diagnosis according to rhinitis and smoking status in Japanese subjects.Allergol Int.2011;60(3):331-337.
- Dweik RA ほか.An official ATS clinical practice guideline: interpretation of exhaled nitric oxide levels(FeNO)for clinical applications.Am J Respir Crit Care Med.2011;184(5):602-615.
- 一般社団法人日本喘息学会.喘息診療実践ガイドライン2024.株式会社協和企画.2024.
文責・監修
力合クリニック
院長 堀尾 雄甲
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本呼吸器学会 呼吸器専門医・指導医
日本アレルギー学会 専門医
長引く咳、夜間・明け方の咳、ゼーゼーする症状でお困りの方はご相談ください。
当院では、呼吸器専門医・アレルギー専門医が、気管支喘息・咳喘息の診療を行っています。
